2025年6月16日月曜日

『デッドフォール』(1989年)「ライバル刑事コンビがワナで刑務所送り」

「金洋ロードショー:映画ブログ」ロサンゼルスの対照的な刑事二人が犯罪組織のワナに反撃。コミカルシーン&アクション。見所を紹介。

(YouTube)予告編 

1.アクション&コメディ

『デッドフォール』(1989年)「ライバル刑事コンビがワナで刑務所送り」

ロサンゼルス市警の刑事タンゴ(シルヴェスター・スタローン)とキャッシュ(カート・ラッセル)。共に「凄腕」であるが、対照的。スーツ姿でメガネを掛けて株式新聞を読むタンゴは「気取り屋」。キャッシュは「アメリカの兄ちゃん」といった感じの雰囲気。しかし、犯罪者に容赦ないところは共通。そのせいで二人は悪辣な麻薬組織にニラまれている。


2.悪役

『デッドフォール』(1989年)「ライバル刑事コンビがワナで刑務所送り」

麻薬組織。そのボス(ジャック・パランス)は冷静な態度ではあるが、冷酷。手下のレキン(ブライオン・ジェームズ)は凄い顔で、暴力的。中国系組織ともつながりがあり、そのボスはクワン(ジェームズ・ホン)。ワルが集結し、タンゴとキャッシュに殺人の罪を着せる。刑務所送りになったタンゴとキャッシュはそこで当然のように囚人たち(かつて二人に捕まった連中)から狙われる。その結果は?


3.トリビア

『デッドフォール』(1989年)「ライバル刑事コンビがワナで刑務所送り」

カート・ラッセルが女装するシーンもあるコメディなアクション作。『ニューヨーク1997』で「スネークと呼べ」とカッコいいセリフを言っていたラッセル。今回は全く違うキャラで、『ゴーストハンターズ』のときのような「陽気な男」役。キャッチコピーは「Let's do it.」(やってやろうぜ)。監督はアンドレイ・コンチャロフスキーほか、複数。内容をめぐって何度も脚本が書き直されたり、意見の衝突があったため。その結果、目まぐるしい展開の映画に。悪役で出演したブライオン・ジェームズは「映画は最初から混乱していた」「自分のキャラクターをスタローンが気に入った」「そのため完成が予定より数か月遅れた」と語る。ストーリー上の悪役はジャック・パランスだったが、スタローンによってジェームズがメインの悪役になった。元々、主演はスタローンとパトリック・スウェイジの予定。ところがスウェイジが降板して『ロードハウス/孤独の街』に主演。その後、カート・ラッセルが代わりに出演することに。さらにプロデューサーと「ワーナー・ブラザーズ」の間で法廷闘争する場外乱闘も発生。「ワーナー」は『コブラ』で経験した「過激なシーン」をめぐる問題から撮影済みの問題アリなシーンのカットを要求。これによってさらに完成が遅れ、映画の予算は2千万ドルもオーバー。その混乱を物語る「劇場版予告編」。本編からカットされたシーンが入っている。そういったトラブルから「この映画にはウンザリ」という関係者も。スタローンはまるでプロデューサー、監督、脚本家のように頑張り、撮影をまとめた。後にスタローン「あの映画でとても楽しい時間を過ごした」「カートはプロらしく完璧に演じた」と語っている。興行収入も良好。5,400万ドルの製作費で1億2,000万ドル以上の収益。ビデオもよく売れ、ロシア、ウクライナでも人気作となった。出演は他にタンゴの上司役でジェフリー・ルイス。マイケル・J・ポラードはキャッシュの友人で武器技師の「オーウェン」を演じ、コミカルなシーンを提供。スタローン演じるタンゴが麻薬組織のトラックを銃撃で止めるシーンはジャッキー・チェン『ポリス・ストーリー/香港国際警察』(1985年)に敬意を表して再現(スタローンはジャッキーと面識があり、ジャッキーのハードアクションを絶賛)。撮影上の困難があった映画だが、スタローンはヒットしたこともあって満足したらしい。続編のストーリーを準備しており、カート・ラッセルに出演を勧めているようだが、共にアクションスターとしての全盛期を過ぎたことを理解しているラッセルにはその気はないようだ。

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2025年5月28日水曜日

『ロックアップ』(1989年)「模範囚がなぜか地獄の刑務所に移送」

「金洋ロードショー:映画ブログ」出所間近の模範囚が突然、警戒厳重な刑務所に移送。執念深い所長による恐怖の復讐。見所を紹介。

(YouTube)予告編         

1.模範囚

『ロックアップ』(1989年)「模範囚がなぜか地獄の刑務所に移送」

出所間近の模範囚フランク・レオン(シルヴェスター・スタローン)。かつてはワルだったが、その後、改心。しかし、強盗に過剰防衛で服役。義父の死に目に会うため面会の許可を申請したが、ドラムグール所長に許可されなかったため止むを得ず脱獄。刑期は延びたが、恋人メリッサ(ダーラン・フリューゲル)は面会に刑務所を訪れたりしながらレオンの帰りを待つ。


2.悪役

『ロックアップ』(1989年)「模範囚がなぜか地獄の刑務所に移送」

出所を待つばかりのレオン。ところが別の刑務所に移送。そこはあのドラムグール(ドナルド・サザーランド)が所長を務める凶悪犯ばかりの刑務所。ドラムグールはレオンに脱獄されたことで左遷され、レオンに強烈な恨み。生きて出所させないつもり。そんなドラムグールに協力するのは部下のメイズナー(ジョン・エイモス)、マンリー(ジョーダン・ランド)、囚人チンク(ソニー・ランダム)ら。「意外な裏切り者」もレオンをピンチに陥れる。


3.トリビア

『ロックアップ』(1989年)「模範囚がなぜか地獄の刑務所に移送」

監督ジョン・フリン。『ランボー』シリーズでおなじみ「カロルコ・ピクチャーズ」制作(「カロルコ」は次第に製作費を増やしていくなど勢いがあったが、『カットスロート・アイランド』と『ショーガール』で失敗、破産。権利関係は「20世紀フォックス」に5000万ドルで買い取られた)。撮影は「東ジャージー州刑務所」で行われ、本物の囚人がエキストラ出演(ここでは他にも『マルコムX』『ザ・ハリケーン』『オーシャンズ11』の撮影。映画に理解のある刑務所のようだ)。スタローンの他にトム・サイズモア、フランク・マクレーが囚人役。「メリッサ」役のダーラン・フリューゲルは『シカゴ・コネクション/夢みて走れ』(1986年)でもおなじみ。興行的には2400万ドルの製作費で2210万ドルの収益。映画に対する評価も低め。「スタローン人気」で制作されたようだが、ストーリーに無理があった。ただ、アクションシーンは迫力。スタローンらしい映画だったと思う。

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2025年5月23日金曜日

『オーバー・ザ・トップ』(1987年)「トレーラー乗りのアームレスラー」

「金洋ロードショー:映画ブログ」トレーラーの運転手が離れて暮らしてきた息子と再会。腕相撲大会で全てを賭ける。見所を紹介。

(YouTube)予告編

1.親子

『オーバー・ザ・トップ』(1987年)「トレーラー乗りのアームレスラー」

トレーラーの運転手リンカーン・ホーク(シルヴェスター・スタローン)。ワケあって息子マイケル(デヴィッド・メンデンホール)とは10年間も会っていない。妻クリスティーナ(スーザン・ブレイクリー)が危篤状態。クリスティーナの「最期の頼み」でホークはマイケルと再会し、親子関係をやり直そうとする。しかし、クリスティーナの父でマイケルの祖父であるジェイソン・カトラー(ロバート・ロッジア)はそれを阻止しようとする。腕相撲大会で全てを賭けるホーク。試合に勝ってマイケルと新しい人生を歩もうとするが、その結果は?


2.祖父

『オーバー・ザ・トップ』(1987年)「トレーラー乗りのアームレスラー」

マイケルの祖父カトラー。コイツは一体、何者なのだろう?  豪邸に住み、誰に対してもエラそう。周囲には屈強なボディガード(プロレスのテリー・ファンク、ほか)。何が気に入らないのか、異常なほど義理の息子ホークを嫌悪。マイケルを自分の跡継ぎにしたいらしく、ホークをマイケルから遠ざけようとする。演じるロバート・ロッジアは悪役でおなじみ。『ピンク・パンサー4』『スカーフェイス』『私立ガードマン/全員無責任』など。トム・ハンクス『ビッグ』(1988年)では「おもちゃ会社の社長」で、悪役ではなかった。


3.トリビア

『オーバー・ザ・トップ』(1987年)「トレーラー乗りのアームレスラー」

ストーリー的にかなりやらかしてるような気がする映画。脚本はスタローン&スターリング・シリファント。ボクシング映画『チャンプ』に似た内容。ソチラの方はボクシングを通じて親子の交流を描いたものだが、コンセプトが同じ。それと比較されて、「『チャンプ』の強引なバージョン」という評価も。何とも盛り上がりにくい内容。少年マイケルは陸軍士官学校を卒業したが、実にナマイキで未熟。ストーリーが進むにつれて「キャラ変」するが、「イヤなガキ」といったイメージが最後まで継続。マイケルの祖父「カトラー」もどういう立場の人間であるのかが描かれていないため感情移入しづらい。肝心のアームレスリングのシーン。世界王者ボブ・“ブル”・ハーリーは過去 5 年間無敗の巨漢。どう考えてもホークが倒せる相手ではないと思うが、ホークはトレーラーを売り、そのカネで「自分の優勝」に賭ける(負けたらどうすんだ?)。しかも、「スタローンが静かに話すシーン」は「何を言っているのか分からない」と低評価。そんなツッコミどころがある『オーバー・ザ・トップ』。興行収入は「スタローン人気」でそこそこ。アームレスリング関係のシーン、出演者が見せ場。「“ブル”・ハーリー」役のリック・ザムウォルトは後の『プレシディオの男たち』(1988年)でショーン・コネリーにあっけなくやられる役で出演。「マッド・ドッグ・マディソン」役のランディ・ラニーは翌年『ランボー3/怒りのアフガン』に出演(ソ連の軍人役。ランボーと肉弾戦)。他に、後にプロレスラーになるスコット・ノートン。日本ではTV放送されて三種類の日本語吹替音声。ブルーレイ版にTBS版とフジテレビ版を収録。テレビ朝日版は事情があるらしく、ソフト化されていないそうだ。

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2025年5月14日水曜日

『コブラ』(1986年)「荒っぽい刑事がイカれた集団を制裁」

「金洋ロードショー:映画ブログ」型破りな刑事が重武装したカルト集団と派手に激突。見所を紹介。


(YouTube)予告編

1.刑事

『コブラ』(1986年)「荒っぽい刑事がイカれた集団を制裁」

ロス市警「ゾンビ班」のマリオン・コブレッティ刑事(シルヴェスター・スタローン)。ニックネームは「コブラ」。凶悪事件発生時に声が掛かる実力派。相棒トニー・ゴンザレス(レニ・サントーニ)はコブラのやり方(銃で解決)を支持するが、モンテ警部補(アンドリュー・ロビンソン)はイヤミったらしくコブラの仕事ぶりを批判。


2.悪役

『コブラ』(1986年)「荒っぽい刑事がイカれた集団を制裁」

カルト集団「新世界」。どういう理屈かわからないが、「殺人」で世直しすることを目指す集団。コブラから「病気」呼ばわりされてさらにエキサイト。リーダーは「ナイト・スラッシャー」(ブライアン・トンプソン)と呼ばれる男で、大型ナイフを武器とする。現職警官もこの集団のメンバーで、コブラを裏切るタイミングを狙う。


3.トリビア(キャスティング)

『コブラ』(1986年)「荒っぽい刑事がイカれた集団を制裁」

スタローン版『ダーティハリー』。『ダーティハリー』の「スコルピオ」でおなじみアンドリュー・ロビンソンが出演。レニ・サントーニはハリー・キャラハンの相棒役だった人。監督ジョージ・P・コスマトス、脚本シルヴェスター・スタローン。原作はポーラ・ゴズリングの小説『逃げるアヒル』。少し複雑な事情がある映画。スタローンが主演作『ビバリーヒルズ・コップ』の脚本を執筆。ところが「パラマウント」がコメディ色を取り去った脚本内容に難色を示し、結局『ビバリー~』は新たな脚本でエディ・マーフィが主演。スタローンの脚本は『コブラ』になった。初期の脚本と完成版には様々な相違点も(何かとコブラに皮肉をかますモンテが「新世界」のボス、という初期の設定はボツになった)。ナイト・スラッシャーの殺人現場を目撃したことで命を狙われるモデル「イングリット・ヌードセン」を演じたブリジット・ニールセン。身長183 cmの大きな女性であるが、襲われて恐怖に怯える役どころ。『ロッキー4/炎の友情』でスタローンと共演後、結婚。『コブラ』の撮影時点では夫婦だったが、後にアッサリ離婚。『ビバリーヒルズ・コップ2』では「ツラの皮が厚い」悪女の役だった(イメージ的にはコッチがニールセンらしい役だった)。「ナイト・スラッシャー」役のブライアン・トンプソン。この役のために何度もオーディションを受けた。当初、スタローンは「トンプソンはナイト・スラッシャー役を演じるには顔が優しすぎる」と考えたらしいが、結局、選ばれた。トンプソンは役作りのためスタローンにアドバイスを求めたが、「単に邪悪なだけのキャラクターだ」と返答されて特に有益なアドバイスはもらえなかったという。


4.トリビア(撮影時の話)

『コブラ』(1986年)「荒っぽい刑事がイカれた集団を制裁」

完成まで何度も編集された映画。最初のラフカットは2時間以上あった。当時、『トップガン』が大ヒット。スタローンと「ワーナー・ブラザース」はその後に公開予定の『コブラ』が目立たなくなることを懸念し、大幅に再編集(映画は短い方が「一日当たりの上映回数」が多くなる)。自分以外のキャラクターが登場するシーンの多くを削除したスタローン。「ワーナー」は生々しいシーンを「過激すぎる」という理由でカット。それでも「X指定」を受けたため、さらに多くをカットして「R指定」に(オリジナルはどのくらい過激だったのだろう? この作品のファンとしては観てみたいところ)。撮影時には様々なトラブル。スッカリ大物になったスタローンに残念な話がいくつか。脇役やエキストラは撮影現場でスタローンに話しかけることを禁じられたという。撮影が遅れて不満を持ったスタローン。しかし、それは新婚のスタローンがニールセンとイチャついたりしていたために起こったこと。それを撮影監督に指摘されて少し反省。しかし、自己中心的な態度は変わらず。テレビでバスケットボールの試合を観戦するのに夢中になって撮影をすっぽかしたことも。クライマックスシーンを「夜」に設定したスタローンだが、現地(シアトル)では蚊が大量発生。夜間の撮影が難しくなったため、結末を変更した。ハードアクション作ということで、スタントマンが負傷。ニールセンが車両に轢かれそうになるハプニングも。コブレッティが乗る車「1950年製マーキュリー」はスタローンの私物だそうだ。ナイトスラッシャーが使用した個性的なナイフはナイフデザイナーのハーマン・シュナイダー制作によるもの。スタローンがシュナイダーに「観客が忘れられないほど記憶に残るナイフ」を作ってほしいと依頼して完成。興行成績は良好(当時のアメリカ大統領ロナルド・レーガンも鑑賞したとか)。ただ『ランボー』には及ばず、映画評論家は過激シーンを嫌悪。スタローンは「感動的な映画」を作りたい人ではない。過激シーンが嫌いな映画評論家はディズニーのアニメや「泣ける映画」だけを選んで鑑賞すればよい。

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2025年5月9日金曜日

『勝利への脱出』(1981年)「連合軍の捕虜がサッカー試合で脱出を目指す」

「金洋ロードショー:映画ブログ」ナチスの捕虜となった連合軍兵士がサッカーの親善試合で脱走する計画を立てるが・・・。見所を紹介。


(YouTube)予告編

1.歴史物

『勝利への脱出』(1981年)「連合軍の捕虜がサッカー試合で脱出を目指す」

1943年、第二次世界大戦中。ドイツの捕虜収容所で過ごす連合国軍の捕虜たち(英国のジョン・コルビー(マイケル・ケイン)、アメリカのロベルト・ハッチ(シルヴェスター・スタローン)、トリニダードのルイス・フェルナンデス(ペレ)ら)。サッカーで気晴らし。ドイツ軍(マックス・フォン・シドーほか)は「ドイツは捕虜を人道的に扱っている」というプロパガンダのため「ドイツ代表 vs. 捕虜チーム」との親善試合を計画。捕虜たちはそれを利用して脱走しようとする。


2.トリビア

『勝利への脱出』(1981年)「連合軍の捕虜がサッカー試合で脱出を目指す」

監督ジョン・ヒューストン。実際にあった試合を元に作られた映画。1942年8月にウクライナで「FCスタルト(ウクライナ)vs.ドイツ空軍」の親善試合(「死の試合」と呼ばれる)。これに勝ったスタルトの選手は収容所に送られ、処刑されたという。映画では本物のサッカー選手が登場(サッカーファンには嬉しいことだと思うが、ファン以外はわからない人たち)。キーパー役を演じたスタローンは映画製作では脚本に関与することが多いが、この作品では関わっていない。マイケル・ケイン演じる「ジョン・コルビー」は「戦前はプロサッカー選手だったイギリス人で、捕虜たちのリーダー的存在」という設定。試合のシーンはハンガリー・ブダペストのスタジアム(今は取り壊されて存在しない)で撮影。捕虜収容所のセットは2か月かけて作られた。作中、ショスタコーヴィチの曲が使われたのは、彼が「抑圧的な政治」を批判した音楽家だったからだとか。評論家はこの映画を酷評(見せ場はサッカーのシーンだけ、など)。どこまで史実に沿った内容なのか、で評価すべき映画と個人的には思う。

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2025年4月28日月曜日

『ナイトホークス』(1981年)「ニューヨーク市警の刑事が国際的テロリストと対決」

「金洋ロードショー:映画ブログ」ニューヨーク市警の刑事がアメリカに潜入した英国テロリストに狙われる。見所を紹介。


(YouTube)予告編

1.刑事物

『ナイトホークス』(1981年)「ニューヨーク市警の刑事が国際的テロリストと対決」

ニューヨーク市警のディーク・ダシルヴァ(シルヴェスター・スタローン)。相棒マシュー・フォックス(ビリー・ディー・ウィリアムズ)と組んでおとり捜査の日々。得意技は女性に変装して町の悪党を油断させること。アメリカに英国のテロリスト、通称「ウルフガー(ルトガー・ハウアー)」が整形して潜入したとの情報。ダシルヴァはフォックスと共に特別チームに加入。テロリストの整形後の顔を予想して捜査。ディスコでターゲットを発見。ダシルヴァの勘の鋭さに感心したウルフガーはダシルヴァを「好敵手」と見なし、挑戦するかのように人質事件を起こす。


2.悪役

『ナイトホークス』(1981年)「ニューヨーク市警の刑事が国際的テロリストと対決」

ウルフガーという男。英国政府に不満を持つテロリストだが、あまりの過激さに仲間からも嫌悪される。アメリカに逃亡し、女テロリストのシャッカ(パーシス・カンバッタ)と組んでさらなる悪事。「政治的な目的を持つ過激派」ではなく単なる「ならず者」と化した。


3.トリビア

『ナイトホークス』(1981年)「ニューヨーク市警の刑事が国際的テロリストと対決」

緊迫感で勝負する映画。スタローン映画らしいコミカルなシーンは少ない(女装シーンぐらいか?)。この脚本は元々『フレンチ・コネクション3』のものだったとか。しかし、ジーン・ハックマンが三作目に乗り気でなかったためボツ。そして、『ナイトホークス』に。監督もトラブル。ゲイリー・ネルソン監督とスタローンがアクション・シーンの撮影をめぐって衝突。ブルース・マルムースが監督することになったが、引き継ぎまで空白があり、1日だけスタローンが監督(地下鉄での追跡シーン)。「2つのバージョン」があり、スタローンのキャラクター、ハウアーのキャラクター「ウルフガー」をそれぞれ強調したもの。「ウルフガー」バージョンの方が試写会での評判が良かったが、結局、スタローンはハウアーのシーンをいくつか削除(ディスコでの銃撃戦、ウルフガーの死亡シーンほか。テロリストを主役にするのに躊躇したか?)。そういった再編集により、完成から1年後に公開。撮影時にも問題。製作中にハウアーの母親と親友が亡くなり、ハウアーは葬儀のためにオランダへ。スタローンの指示によるアクシデントでハウアーが二度負傷。スタローンとハウアーが口論。しかし、1993年、スタローンはハウアーの演技を称賛。これで過去の確執は消えたようだ。また公開時はあまり評価されず、興行収入もそこそこ。楽しい映画でもなければ、感動的な内容でもなかったのが原因。今では「都市テロ」は現実の出来事であり、珍しくもないが、当時の人々は映画に共感できず。「時代を先取りした作品」であった(スタローン「ニューヨークで都市テロが起きるなんて誰も信じていなかったから、ストーリーが無理があると感じていた」)。高所恐怖症にもかかわらず、スタローンはスタントを自分で行うことを主張。役作りのため、ビリー・ディー・ウィリアムズとスタローンはニューヨーク市警の夜間課で数週間働いたという。現代では「スリリングな名作」と評価される作品。発売中のBlu-rayソフトには1987年12月20日、テレビ朝日『日曜洋画劇場』で放送されたときの日本語吹替音声を収録(要確認)。

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2025年4月24日木曜日

『ランボー/最後の戦場』(2008年)「元グリーンベレーがミャンマーで過激な戦闘」

「金洋ロードショー:映画ブログ」ベトナム帰りの元・グリーンベレーがミャンマーで拘束された人道支援団体の救出に向かう。見所を紹介。


(YouTube)予告編

1.パート4

『ランボー/最後の戦場』(2008年)「元グリーンベレーがミャンマーで過激な戦闘」

ベトナム、アフガニスタンで死闘を展開したことがある元・グリーンベレーのジョン・ランボー(シルヴェスター・スタローン)。今ではタイでひっそりと暮らしている。そんなある日、ミャンマーで人道支援活動を行おうとするNGOの一団がランボーにミャンマーへの案内を依頼。メンバーのサラ・ミラー(ジュリー・ベンツ)に熱心に頼まれ、受諾。ところが凶暴な海賊に襲撃されたり、NGOメンバーが拘束されたり。傭兵がNGO救出に向かうが、敵の多さに弱腰になってしまう。


2.トリビア

『ランボー/最後の戦場』(2008年)「元グリーンベレーがミャンマーで過激な戦闘」

残酷シーンに要注意の映画。『ランボー3/怒りのアフガン』から20年ぶりの続編。なぜ20年も経ってパート4をスタローンは作る気になったのか? スタローン「ランボー役をまたやってみたいと思うようなテーマが無かったから」とのこと。主演、監督、脚本はスタローン(「スタローン」ではなく「ランボー」の視点で脚本を書いた。毎日のように書き直して修正を加えたという)。「劇場公開版」と「エクステンデッド・カット版」(未公開シーンの追加、特別編集により公開版とは趣が違う内容になっているとか)の二種類。「20年ぶりの続編」ということで「昔とは違う」面も。「サミュエル・トラウトマン大佐」を演じたリチャード・クレンナが2003年にすい臓癌で死去。過去三作で音楽を担当したジェリー・ゴールドスミスも2004年に癌で死去。1997年には「カロルコ・ピクチャーズ」が倒産し、ランボーシリーズの権利は「ミラマックス・フィルムズ」に移転(その後、さらに転売された)。変わらないのは不安定な世界情勢。非常に荒っぽい、無惨なシーンが多い作品となったのは、スタローン「現実をありのままに描いたから」というのが理由。ミャンマーをテーマにしたのは、スタローン「残忍な暴力が起こっているにもかかわらず、国際社会からあまり注目されていないように思えたから」ということらしい。実際、イラク戦争について描かれた映画はあるが、ミャンマーについては他にあるのかどうか。撮影はミャンマーとの国境からそれほど遠くないタイ北部。そのため出演者にはミャンマー政府から圧力が掛けられた(カレン族の元・戦士も出演。映画に参加すれば家族がミャンマーに投獄されるリスクがあったが、役を引き受けた)。製作費4,750万~5,000万ドル。全世界で1億1,320万ドルの興行収入。過激なシーンが多かったが、スタローンは負傷することもなく撮影完了(ミャンマー軍に撃たれそうになったが、無事だった。にもかかわらず、竹で頭を打って気絶するハプニング)。スタローンはミャンマーを「地獄」と表現。現地で悲惨な姿になった生存者を多数目撃。この映画に描かれた「残酷さ」は現実のものであった。

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