「金洋ロードショー:映画ブログ」ベトナム帰りの元・特殊部隊員がローカルな町で保安官とトラブルに。見所を紹介。
(YouTube)予告編
1.ベトナム帰還兵
ベトナム帰りのジョン・ランボー(シルヴェスター・スタローン)。久しぶりに戦友を訪ねたが、戦争の後遺症(枯れ葉剤の影響)でやせ細って死んだという。唯一の友人を亡くして寂しい状況で、あるローカルな町にたどり着く。その町の保安官ティーズル(ブライアン・デネヒー)はランボーを見た目の風貌で危険視。パトカーで町を追い払うがランボーはその扱いに立腹。まるでティーズルにケンカを売るかのような態度を取って逮捕。保安官事務所では手荒な扱い。ベトナム時代のトラウマがフラッシュバック。事務所の連中をぶちめのめして山に逃走。かつてのランボーの上官サミュエル・トラウトマン大佐(リチャード・クレンナ)が現場に駆け付け、山に立て籠もるランボーに投降を呼びかけるが・・・。
2.トリビア(キャスティング)
ディヴィッド・マレルの小説『一人だけの軍隊(ファースト・ブラッド)』を映画化したもの。監督テッド・コッチェフ、主題歌はダン・ヒル「It's a long road」。この小説は1972年に書かれたもの。「ベトナム戦、反対」の立場からマレルが執筆(マレルには従軍経験は無いらしい)。1970年代に多くの監督やスタジオが小説の映画化を試みた。ベトナム戦争がまだ続いていた頃は映画は制作されず。ランボー役には様々なスターが候補に。ロバート・デ・ニーロ、クリント・イーストウッド、ポール・ニューマン、アル・パチーノ、ダスティン・ホフマン。スティーブ・マックイーンは乗り気だったが、「若いランボー」を演じるには年を取りすぎていたため断念。時が経ち、再び制作の話が。当時、『ロッキー』以外はそこそこだったシルヴェスター・スタローンが出演希望。スタローンは脚本にも関与し、「ジョン・ランボー」というキャラクターをより共感できるものにすることに成功すると共に文句無しのアクションスターに。「トラウトマン大佐」役も様々な候補。リー・マーヴィンに断わられた後にカーク・ダグラスに決まったが、キャラクター設定への不満から降板。結局、リチャード・クレンナにオファー。「ティースル保安官(朝鮮戦争の帰還兵でもある)」役にはジーン・ハックマンとロバート・デュヴァルの名が上がったが、共に断った。個人的には結果的に出演することになったシルヴェスター・スタローン、リチャード・クレンナ、ブライアン・デネヒーがベストだったと考える(イメージにピッタリ)。
3.トリビア(撮影時の話)
ハードアクション作(予算1500万ドル)。舞台となった「保安官事務所」は当時、取り壊し予定だった銀行を使用。スタローン自ら多くの危険なスタント。洞窟のシーンでヤケドしたり、崖から落ちて木にぶつかって背中に重傷を負ったり(肋骨を数本骨折)。撮影に使用された銃器は全て本物。その多くはFBIやSWATから借用したもの。撮影中はこれらの武器は厳重な管理下に置かれたが、国際的な武器密輸組織によって盗まれた。この事件後、撮影現場はカナダ軍によって警備され、兵士らは映画のエキストラとしても出演。撮影が行われたのはカナダだったが、思わぬ大雪により制作が遅れるハプニング。契約条件により発生する高額な出演料の支払いを避けるため、リチャード・クレンナの出番がカットされたこともあったという。ラフカット版は3時間から3時間半の長さ。これでは長すぎる、ということで徹底的に再編集されて93分に。さらに問題。原作、試写会版、公開版でエンディングが異なるのは有名な話。原作、試写会版ではランボーは悲惨な最期。それではあんまりだ、ということで試写会後にエンディングの撮り直し。それが公開版になった。
4.解説
「ランボー」というのは原作者によるとリンゴの名前だそうだ。ランボーがリンゴ(果物)なら保安官は「草の名前」からということで「ティーズル(トゲのある植物)」。「ティーズル」から「ル」を取り除くと「ティーズ(いびる、いじめる、の意)」。「トラウトマン」の「トラウト」は「マス釣り」の意。要するにマスを釣るかのように人を釣る(翻弄する)の意味が込められているそうだ。ランボーが保安官に不審者扱いされるシーン。これは当時のアメリカではよくあったことなのだそうだ。髪の長い、いわゆる「ヒッピー」のような連中は田舎町では嫌悪され、場合によっては逮捕。ランボーがされたような扱いを受けることもあったらしい。原作のランボーはかなりの殺人マシン。大勢を死なせるストーリー。そのため原作ではランボーは最後に悲惨な死に方。ランボーが山に逃亡する演出。なぜ山に逃げたのだろう? 町の方が物資に困ることもなければ危険も少なく、隠れる場所も確保しやすいはず。これは「山が持つ不思議なパワー」を表現するためらしい。モーセが十戒を受けた逸話があるように欧米人には「山への信仰」がある。ランボーは「山のパワー」で潜在能力を甦らせて町で復讐する、という演出だったという。ランボーに対してかなり執拗だった保安官ティーズル。ランボーはベトナム帰還兵。ティーズルは朝鮮戦争の英雄。ティーズルとしては「ナメられてたまるか」といった意地がある。二人の争いは「世代間の争い」でもあった。
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