ある王女が所有するダイヤ「ピンク・パンサー」をフランス警察の珍警部が快盗から守ろうとする。見所を紹介。
(YouTube)予告編
1.ドジ男
フランス警察のジャック・クルーゾー警部(ピーター・セラーズ)。何ともどんくさい男で、わざとらしいほどイチイチやらかす(モノを落とす、壊す、コケる、など)。愛妻家でプライベートは充実しているが、10年間に渡って逮捕に失敗してきた泥棒「ファントム」のことが気がかり。イタリアのウィンターリゾート地コルチナ・ダンペッツォに滞在する某国(架空の国「ルガシュ」らしい)の王女ダーラ(クラウディア・カルディナーレ)が所有するダイヤ「ピンク・パンサー」をファントムが狙うと予想するクルーゾーは保険会社のタッカー(コリン・ゴードン)と共に現地入りし、ファントムを警戒する。
2.キャラ
何とも悲しいことにクルーゾーの妻シモーヌ(キャプシーヌ)は「ファントム」ことチャールズ・リットン卿(デヴィッド・ニーヴン)の女。ファントムがこれまで捕まらなかったのはシモーヌの手引きによるもの。クルーゾーはそのことに全く気付いていない。リットンは「穏やかなオジサン」といった雰囲気で紳士を気取っているが、所詮は犯罪者。リットンの甥ジョージ(ロバート・ワグナー)は調子コイた奴で、伯父を出し抜いて「ピンク・パンサー」を盗もうとする。保険会社のタッカーは常識人。王女ダーラは革命派から「ピンク・パンサー」を国に返還するよう求められ、困った立場。スキー場のロッジで「メグリオ・スタセラ(『今宵を楽しく』)」を歌う女性はフラン・ジェフリーズ(アメリカの歌手)。
3.トリビア
監督ブレイク・エドワーズ。記念すべきシリーズ一作目で、大ヒット。王女がリットンにホレてしまう、というちょっと強引なストーリー展開のため「茶番劇な脚本」という評価ですが、ピーター・セラーズの「ドジ芸」が大いにウケた。キャスティングで混乱。当初、「クルーゾー警部」役はセラーズではなく、ピーター・ユスティノフ。しかし、「シモーヌ」役のエヴァ・ガードナーが降板し、キャプシーヌに。これに反発したユスティノフが降板(後、ユスティノフは「契約違反」で17万5千ドルの損害賠償で訴えられた)。タイミングのいいことにセラーズが見つかり、クルーゾー役に。これによってセラーズは「生涯の当たり役」を獲得。ジャネット・リーはイタリアでの撮影によりアメリカを離れる期間が長くなることを理由にオファーを断った。王女役にクラウディア・カルディナーレが決まったが、オードリー・ヘプバーンも同役の候補だった(ヘプバーンには合わない役だったような気がする)。「主演」はデヴィッド・ニーヴンだったが、「セラーズの面白さ」にエドワーズ監督は注目。結局、「クルーゾー警部」がこの作品、および続編の主役に。ニーヴンら他の主要キャラはシリーズから離れたが、セラーズの死後、ニーヴン、キャプシーヌ、ワグナーは続編に同じ役で出演。クラウディア・カルディナーレは英語が十分でなかったため、声は他の声優によって吹き替えられた。また、セラーズの没後に製作されたシリーズ最終作『ピンク・パンサーの息子』(1993年)にカルディナーレは30年振りに再出演(ただし、「ダーラ」ではない別の役)。「ピンクパンサー」シリーズで有名な「ドレフュス主任警部」「ケイトー」は次作『暗闇でドッキリ』から登場。音楽はヘンリー・マンシーニが担当し、主題曲『ピンク・パンサーのテーマ』は説明不要の有名なメロディ。この曲は怪盗ファントムの「忍び足」をイメージしたものだそうだ(「クルーゾーのテーマ」ではない)。王女ダーラはどこの国の人なのか? 本編では語られませんでしたが、『ピンク・パンサー2』(1975年)に「中東の国ルガシュ(架空の国)」が登場。どうやらダーラはルガシュの王女らしい。広場でのユーモラスなカーチェイスのシーンはアルフレッド・ヒッチコック『外国特派員』(1940年)のオマージュとのこと。2010年、「文化的、歴史的、そして美的に重要」ということで米国議会図書館によって米国国立フィルム登録簿への保存対象に選ばれた。
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