「金洋ロードショー:映画ブログ」ついにゾンビが人間を圧倒する恐怖の時代。わずかに生き残った人間同士がむなしい争い。見所を紹介。
(YouTube)予告編
1.あれから数年後
『ゾンビ』(1978年)のラストでショッピングモールからヘリで脱出した白人女性フランシーン&黒人男性ピーター(その後、二人はどうなったのだろう?)。それから時間が経って人類は消滅寸前。何と「ゾンビ40万に対し、人間は1人」と推定される状況。フロリダの地下基地に避難する軍人と科学者ら。外には大量のゾンビ。ヘリで町に出て生存者を捜すが、無意味。都会は死人と野生動物の世界になってしまった。
2.情けない人類
ローズ大尉(ジョセフ・ピラトー)率いる軍人たち。何ともダラけた連中でどうしようもない。ローズは短気な男で、ミゲルは精神衰弱。何かとイライラするローズがトラブルを拡大させる。科学者たちも一致していない。ローガン博士(リチャード・リバティー)は「ゾンビをコントロールする手段」を研究しており、「ゾンビ軍」を作ってゾンビ退治させようと計画。基地内で唯一の女サラ(ロリー・カーディル)はゾンビウィルスの解明に力を入れているようだが、成果無し。ヘリのパイロット、ジョン(テリー・アレクサンダー)は高圧的な軍人たちを嫌う。無線技師ビル(ジャーラス・コンロイ)はジョンとサラの味方。
3.トリビア
当時、最恐の映画。その音響は「恐怖のゾンビングサウンド」と呼ばれたほど。アメリカで劇場公開されたとき、ラスト近くに展開される残虐シーンでは観客が失神したという。また、「実際に人を殺して撮影したのでは?」と観客が騒ぎ、パトカーが出動したこともあったらしい。元々はもっとスケールが大きい映画だったが、予算の関係で縮小されたのは有名な話。アメリカ映画界のルールはよく知らないが、残酷な映画にはいわゆる「レーティング」の問題。出資者がオリジナルの内容に難色を示したことでジョージ・A・ロメロ監督は脚本を書き直してスケールダウン。ニューヨークで初公開。あまりにも陰惨な内容だったため、劇場収入はまずまずといったところ。しかし、映像ソフトがかなり売れ、結果的に「ヒット作」に。「残忍なシーン以外は退屈で、過剰な演技」といった感じで評論家はロメロ「ゾンビ三部作」の中でこれを最も低く評価したが、ロメロは「一番気に入っている」という。進んだ特撮技術、親しいスタッフと仕事ができたことに満足したから、とのこと。映画の舞台はフロリダ。屋外のシーンはフロリダでロケされ、地下シェルターのシーンはペンシルベニア州にある元・鉱山(フィルムの保存など「倉庫」として使用されてきた施設がある)で4ヶ月に渡って撮影。カビくさく、塵が舞うような体に悪い環境で、しかも寒い場所。撮影中は機械的および電気的故障が絶えず。主演のロリー・カーディルは40度の熱を出してしまった。最後に基地から脱出するシーンはかつてミサイルが格納されていた場所で撮影。『ゾンビ』(1978年)のロケ地となったモールの近くにあるらしい。「ゾンビ」役のエキストラはフロリダ市民、およびピッツバーグ市民。フロリダで集めたエキストラの中にヘンに笑ったりするふざけた奴がいたらしく、折角撮影したのにボツになったフィルムがあったという。ロメロ監督に敬意を払うピッツバーグのエキストラ。地元の医者、弁護士、大学関係者なども喜んでゾンビ役で参加。エキストラには1ドルの報酬と「死霊のえじきでゾンビを演じた」と書かれた帽子が与えられたとか。キャスティングは『ゾンビ』のゲイラン・ロスも関与。主演のロリー・カーディルはこれが映画初出演。父が本人役で『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968年)に出演した縁でロリーは中学生の時にロメロに会っている。その後、舞台女優になったロリー。映画初出演で「サラ」役に抜擢。身長が175cmぐらいあるため、周囲の男たちに負けない存在感。「ジョン」を演じたテリー・アレクサンダー、「ビル」役のジャーラス・コンロイは舞台出身。ローズの部下を演じたデカい男はゲイリー・ハワード・クラー。フットボール選手だった過去。この映画での「荒っぽい軍人」役はピッタリの役どころだった。憎ったらしいローズ大尉を演じたジョセフ・ピラトーは素顔は悪い人ではない。この役をもらうために体を鍛え、オーディションで頑張った。しかし、ゾンビに食われるシーンで大ハプニング。悪臭漂う中の撮影後、吐いてしまった。珍キャラ「バブ」を演じたシャーマン・ハワード。オーディションで七面鳥の足にかぶりつくパフォーマンスを見せて採用決定。特殊効果はトム・サヴィーニ。作り物の人体を使ったり、編集を巧みに行なったりすることで「恐怖シーン」を表現。冒頭で壁からゾンビの手が出てくるシーンはロリーの夫も「手」のみの出演。機関銃が火を噴くシーンの「火花」は後から「アニメの火花」を映像に合成させたもの。予算不足のため、実写と絵を組み合わせたシーンも。撮影中、ロケ地の寒さとリアルなゾンビメイクのため出演者はまるで本当にゾンビに囲まれているような気分になったという。観客にもその恐怖が十分伝わるような過激さだった。
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