「金洋ロードショー:映画ブログ」4回戦ボクサーが世界王者との試合に出場する映画。チンピラのようなロッキーが大きなチャンス。見所を紹介。
(YouTube)予告編
1.等身大
シルヴェスター・スタローンの人生を変えた映画。4回戦ボクサーが抜擢され、世界王座に挑戦する内容。当時、スタローンは文無し。飼い犬「バッカス」を飼う余裕も無いほど。狭いアパートで脚本作り。キッカケはモハメド・アリの世界タイトル戦。挑戦者チャック・ウェプナーがアリに対してダウンを奪う善戦。自身の境遇とウェプナーの戦いぶりを重ね合わせて一気に脚本を完成。映画会社はその脚本を25万ドル(または、それ以上)で買うオファーを出したが、スタローンは自身が主演することを強く主張。当時のスタローンにとって「25万ドル」は信じられない大金だったはず。これを断ったのは大きな賭けだった。監督はジョン・G・アヴィルドセン。脚本を読み、イマイチな箇所の変更をスタローンに提案。結局、オリジナルの脚本の9割ほどが変更され、完成作は続編につながるような感動的な内容となった。
2.エイドリアン
何と言ってもこの映画の重要キャラはタリア・シャイア演じる「エイドリアン」。ペットショップに勤める内気な女。教育ママみたいなとんがったメガネを掛けて、ロッキーとは目を合わせようとしない。エイドリアンのどこが気に入ったのかはわからないが、ロッキーはデートに誘う。ボロアパートで結ばれる二人。そこから一気にエイドリアンはキャラ変。とんがりメガネを外してカワイイ感じになり、ロッキーと普通の恋人同士のような雰囲気に。彼女の存在がロッキーを大きなものにし、続編でも極めて重要な役割を果たした。
3.キャラ
無名のスタローンが主演、ということでインパクトの薄い映画と見なされた『ロッキー』。ベテランのバージェス・メレディスがロッキーのトレーナー「ミッキー」として出演することになり、作品に「重み」が出た。「世界王者アポロ・クリード」役のカール・ウェザースとタリア・シャイアは同じ頃に出演決定。本当はケン・ノートン(アリと戦ったホンモノのボクサー)にアポロ役をやってもらいたかったスタローンだが、断られたという。「エイドリアンの兄貴ポーリー」はバート・ヤング。「高利貸しトニー・ガッツォ」役のジョー・スピネルはスタローンの友人。弟フランク・スタローンは「フィラデルフィアの青年」役で、ストリートで歌ったりする役どころ。父フランク・スタローン・シニアは「アポロ vs. ロッキー」でゴングを鳴らす役。「少女マリー」はスタローンの友人の娘。バッカスは実際にスタローンが飼っていた犬(撮影当時、体調不良でクサかったらしい)。
4.トリビア
エピソードが豊富な映画。「予算不足」が逆に良い結果になった話が楽しい。ロッキーが早朝に走るシーン。町の街灯のみで、照明は使用せず。そのためリアルなトレーニングシーンとなった。試合前にロッキーが試合会場を見物するシーン。自身の巨大ポスターが飾られているが、トランクスが赤色。試合シーンは白のトランクス着用で撮影予定だったが、間違いで赤。また、ロッキーのガウンが大きすぎるサイズ。これも間違いで大きなものが制作されて撮影現場に届いたもの。ポスター・ガウンを作り直す余裕が無いため、セリフでその手違い・ハプニングをカバー。出演者の衣装は自前(ホントに製作費が無かったようだ)。ロッキーとエイドリアンが無人のスケート場でデートするシーン。予算不足でエキストラを雇うカネが無かったことで、閉館後のスケート場で撮影。むしろ誰もいない方が映像的に効果的だった。また、スケートでたどたどしく滑るエイドリアンにロッキーが走りながら付き添うシーン。スタローンがスケートできないためこういうシーンになったが、普通に一緒に滑るよりも印象的なシーンとなった。ロッキーが肉を殴るシーン。非常にインパクトのあるシーンとなったが、スタローンはこのシーンの撮影で指の関節を痛め、後遺症が残った。ロッキーがトレーニングするミッキーのジム。映画上はフィラデルフィアにあるが、内部はロサンゼルスで撮影。ロッキーの住むアパートは本当に汚くて、トイレが臭かったらしい。そのため演技ではなく、貧乏に苦しむ表情が普通にできたという。脚本を読んだアヴィルドセン監督。この映画は「試合のシーン」次第と直感。ボクシングを扱った映画を参考にしようとしたが、「試合のシーン」に関してはどれもこれもサッパリだったという。そこで「本格的な試合」を撮ることに決定。スタローンに減量を求め、撮影が進むにつれてスタローンは引き締まった体に。試合のシーンの撮影は「最終ラウンド」から。「顔の腫れ」のメークに時間がかかることから、まず最終ラウンドを撮影。徐々にメークを剥がしていって第一ラウンドを撮ったという。エンディングは当初の構想とは大きく違うものに。結果的に完成したものが最高のものとなった。ジョージ・ワシントンの扮装でド派手に入場するアポロ。カール・ウェザースはこのシーンがバカバカしいものに思え、撮影では恥ずかしかったそうだ。しかし後に、このシーンが「大きな見せ場」になった、と納得したとのこと。「スペシャルゲスト」としてジョー・フレージャー登場。他にもホンモノの世界的ボクサーに声を掛けたが、出演してくれたのはフレージャーのみ。フレージャーはフィラデルフィアが生んだ栄光の世界ヘビー級王者。彼のみでもボクシングファンは十分、満足だろう。
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