『裸の銃を持つ男 PART2 1/2』（1991年）「特捜班のどんくさ刑事が環境問題を語る」

「金洋ロードショー：映画ブログ」映画版のパート２。レスリー・ニールセン演じるドジ刑事が環境保護派を襲撃した黒幕を追う。見所を紹介。

（YouTube）予告編

１．再び

あの「フランク・ドレビン」が再登場。一作目がウケた、ということとレンタルビデオで観たファンが続編に期待した、ということで前作を上回るヒットになったという。タイトルは「パート２」ではなく「PART2 1/2」（何やねん「1/2」て）。ロサンゼルス市警特捜班のフランク（レスリー・ニールセン）。イチイチどんくさいが結果はいろいろ。事件を解決するときもあれば、自分がやったマヌケな行為で失神したりするときも。今回は何とこれまでの実績が認められて大統領晩餐会に出席。「飾り」として置いてあるデカいロブスターを強引に食おうとして両隣にいるブッシュ大統領のファーストレディ＆警察長官に迷惑を掛ける（このシーンが一番面白かった。マインハイマーがフランクのせいで畳み掛けるようにエラい目に遭うシーンも面白かったが「マインハイマーは体が不自由な車椅子の男」であるため、あまり笑ってはいけないような気がする）。前作のエド・ホッケン警部（ジョージ・ケネディ）、同僚ノードバーグ（O・J・シンプソン）、ロス市警の鑑識課主任テッド・オルソン（エド・ウィリアムズ）も再登場。オルソンの本職は高校教師、ということだったが、どうやら「科学」ではなく「社会科」のようだ（でも「科学」っぽい顔）。

２．悪役

今回の悪役はエネルギー産業。石油、石炭、原子力といったエネルギー界の大物が結託。キッカケはアメリカ政府が「これからは環境に配慮したエネルギー政策を推進する」と発表したこと。環境保護派のアルバート・S・マインハイマー博士（英国俳優リチャード・グリフィス）はクリーンエネルギーを支持しており、旧来のエネルギー業界は困惑。そこでマインハイマーのソックリさんをでっちあげ、ニセの政策を政府に提案させようとする。こんなおバカな計画を実行するのは石油業界の大物クエンティン・ハプスバーグ（ロバート・グーレ）。時代遅れなヒゲ男で、キザな奴。しかも、フランクの元・恋人ジェーン（プリシラ・プレスリー）と交際。イチャつくハプスバーグ＆ジェーンにフランクは嫉妬から我を忘れ、下品なことを口走る。ハプスバーグ配下の殺し屋ヘクター・サヴァージ（アンソニー・ジェームズ）は元・ボクサー。フランクとサヴァージの対決は説明するのもアホらしいバカバカしさ（歯ブラシ攻撃にドライヤーで反撃、ほか）。

３．パロディ

「映画パロディ」もこのシリーズの特徴。前作は世界的人物のソックリさん（エリザベス2世、ホメイニ、ミハイル・ゴルバチョフなど）が面白かったのですが、今回は映画パロディが目立つ。殺し屋が一軒家に逃げて立て籠もるシーンはクリント・イーストウッド『ガントレット』（1977年）のパロディ。大勢の警官が民家に銃を構える状況でフランク登場。警官を激励するため肩を叩いたら、その警官が反射的に発砲。それをキッカケにバカな警官隊（ロス市警以外の連中も）が乱射。民家は銃弾で穴だらけ。この民家は撮影のために空き家に建てられたもので、正面だけのハリボテ。銃弾で穴だらけになった後、そのハリボテはフランクがド下手に操縦する戦車に突っ込まれてさらにボロボロに。また、ラスト近くに登場する「核装置」は冷凍庫を改造したもの。そのシーンはフォートノックスの金塊を汚染させて金価格を吊り上げようとしたゴールドフィンガー（『007／ゴールドフィンガー』）のパロディ。他にも、『カサブランカ』（1942年）、『E.T.』（1982年）のパロディ。個人的には「面白い」というより「単なる珍シーン」が多かったような気がする。前作が気に入ってファンになった人はこのバカバカしいパート２を楽しめただろうか？

４．トリビア

破壊されてしまうマインハイマー博士の工場。これはカネをかけて作られたセット。しかし、工場全体が映るシーンはほんのわずかな時間。映画というのは実に贅沢な娯楽。悪役を演じたロバート・グーレはこのシリーズの前身であるTV番組『フライング・コップ』にも登場。しかし、リハーサルで勝手なセリフ。映画監督には様々な人がおり、アドリブを許す人もいれば、そうでない人も。グーレはカンペを読みながらセリフをしゃべることになった。劇中にピカピカの電気自動車（＆美女）が登場するが、これは監督デヴィッド・ザッカーの愛車。シリーズおなじみアル・ヤンコビックは今回もチョイ役出演。警察署で警官に銃を向けるが、フランクが開けたドアにぶつかって逮捕される役どころ。また、今回もスタッフの家族や知人が出演するなど「キャラを楽しむ映画」に。個人的には「いかがわしい店の女」が妙に印象的。この店で「あの人」が「裸の銃を持つ男」になってしまうシーンにも注目されたい。一作目では野球場のシーンで合成映像。今回は港のシーンなどで合成映像が効果発揮。映画制作には素人にはわからない意外な点が。セリフがある場合と無い場合でギャラ（出演料）が違うらしい。他の映画もそうなのかは知らないが。

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