英国秘密情報部(MI6)の諜報部員がジャマイカで「スペクター」のメンバーと対決。見所を紹介。
(YouTube)予告編
1.第一弾
英国秘密情報部(MI6)の諜報部員「ジェームズ・ボンド」の活躍を描いた映画。今日でも続くシリーズになるとは誰が予想しただろう? 初期のボンドを演じたのはショーン・コネリー。ジャマイカから発信される謎の電波を調査するMI6のストラングウェイズ(ティム・モクソン)とその秘書が三人の黒人ヒットマンに射殺される事件。ボンドが何かと怪しげなジャマイカに乗り込む。
2.悪役
ジャマイカ領の孤島「クラブ・キー」を仕切るドクター・ノオ(ジョセフ・ワイズマン)。中国系ドイツ人科学者で、中国の秘密結社「トング」の一員だったが、1000万ドルを組織から盗んで逃亡。現在は悪の組織「スペクター」のメンバー。いやに警戒厳重なクラブ・キー。単なるボーキサイト鉱山の島ではなさそう。ノオは「妨害電波」を使って何を企んでいるのか?
3.女
『007』シリーズといえば「ボンドガール」という言葉があるように女性が重要な役割。MI6の部長で、ボンドの上司「M」(バーナード・リー)。その秘書であるマネーペニー(ロイス・マクスウェル)はボンドと微妙な距離感。ジャマイカに乗り込んだボンドを待ち構える謎の女カメラマン(マルグリット・ルワース)、英国大使館の怪しい秘書(ゼナ・マーシャル)。そして、クラブ・キーで貝殻を収集する女ハニー・ライダー(ウルスラ・アンドレス)。ボンドがトボケたポーカーフェイスで「敵側と思われる女」と交流するシーンも見せ場。
4.トリビア(キャスティング)
何ともエピソードが多い映画(一冊の本が書けるほど)。そのいくつかを紹介。ようやく映画化の権利をまとめた製作陣だが、「ジェームズ・ボンド」にピッタリの役者が見つけられない。オファーを出しても断られたり、オーディションでも見つからず(後にボンドを演じるロジャー・ムーアも候補に挙がったが、ムーアは自伝の中で「1972年『007 死ぬのは奴らだ』に出演するまでボンド役のオファーは一度もなかった」と書いている)。当時31歳のショーン・コネリー。「シリアスとコメディ」を演じられそうな雰囲気が製作陣の目に留まって抜擢。監督テレンス・ヤングはコネリーを仕立て屋に連れていったり、セレブな振る舞いを指導したり。貧しい家庭の出で、どこか粗野なところがあったコネリーが「洗練された英国エージェント」に変身。悪役「ドクター・ノオ」役もなかなか決まらず。マックス・フォン・シドーはノオ役のオファーを断った(後に『ネバーセイ・ネバーアゲイン』で「ブロフェルド」を演じた)。原作者イアン・フレミングは義理の従兄弟のクリストファー・リーがノオ役にふさわしいと考えていたが、プロデューサーはジョセフ・ワイズマンを抜擢。ノオが「中国系」ということでワイズマンに特殊メイクがほどこされた。「CIAのフェリックス・ライター」を演じたジャック・ロード。後に『ゴールドフィンガー』でライター役に復帰したいと考えたが、高い出演料を要求して失敗。『007/ドクター・ノオ』のみの出演に終わった。ウルスラ・アンドレスはドイツ系スイス人。容姿は良いが、セリフに不安。あのカーク・ダグラスが脚本を読んでウルスラに出演を勧めたことで思い切って出演。結局、彼女のドイツ訛りのセリフはボツになり、声優がウルスラの声を吹き替えた。マネーペニー役のロイス・マクスウェル。当時、夫が重病。仕事を求めていたところ、この役を獲得。よりセクシーな役もオファーされたが、イメージを考慮して「マネーペニー」役を選んだという。ノオの手下「デント教授」を演じたアンソニー・ドーソンは舞台俳優。この映画の撮影当時、ジャマイカでパイロット兼農薬散布機のパイロットとして働いていたとか。「卑劣な悪役」だったが、銃で撃たれるシーンは名場面。ドーソンは『ロシアより愛をこめて』と『007 サンダーボール作戦』にも登場。「スペクター」のボス、ブロフェルド役だったが、顔は一度も出せず(「ブロフェルドの素顔」を秘密にして緊迫感を出す演出のため)、しかも声は別の俳優によって吹き替えられてしまった。ジャマイカの空港に登場する怪しい女カメラマンを演じたマルグリット・ルワース。航空会社の職員であり、ミス・ジャマイカ。よりセクシーな役どころのオファーもあったが「固い家柄」の人らしく、カメラマン役に決定。「M」を演じたバーナード・リーは映画の中では「愛想悪い男」だが実際は陽気で、ピアノを弾くのを好んだという。
5.トリビア(撮影時の話)
原作者イアン・フレミングは本当に諜報員だった過去。そのためリアルな表現。製作者はカナダの映画プロデューサー、ハリー・サルツマン。そしてニューヨーク出身の映画プロデューサー、アルバート・R・ブロッコリ(サルツマンとブロッコリの共同製作でシリーズの続編は続いたが、『007 黄金銃を持つ男』の撮影中に分裂。サルツマンが手を引く形に)。「ジェームズ・ボンド」は過去にテレビドラマ化されたが、コケたことがある。しかし、小説版とコミック版は人気。そこでサルツマン&ブロッコリが映画化することに。当初、小説では8作目である『サンダーボール作戦』を一作目として制作しようと考えていたが、脚本の権利をめぐって法的な争い。結局、『ドクター・ノオ』が選ばれた。製作費は「ユナイテッド・アーティスツ」が出した100万ドル(シリーズ中、最も低予算)。しかし、その後追加されて120万ドルに。監督はなかなか決まらず。数人にオファーしたが、全員に断わられた。ブロッコリと仕事関係にあるテレンス・ヤング監督(当時、47歳)が引き受けることになったが、結果的にこれが大正解。ヤングは豪華な生活をしたがるタイプで、ボンドのようなキャラ。コネリーにボンドらしい振る舞いを指導して、「ジェームズ・ボンド」のキャラを確立させた。あの有名なテーマ曲はモンティ・ノーマン作曲、ジョン・バリー編曲。テーマ曲が流れる中、銃口の映像。38口径の銃身の中にピンホールカメラを設置して撮影。発砲するのはショーン・コネリーではなく、スタントマンのボブ・シモンズ。シモンズはタランチュラがボンドの体を這うシーンにコネリーの代役として出演。シモンズによるとこのシーンは「これまで演じた中で最も恐ろしいスタントだった」とのこと。このシーンで使われたタランチュラは毒が抜いてあったという。しかし、事故を懸念して医者を待機させ、コネリー本人が演じたシーンでは腕の上にガラス板を置いてその上にタランチュラを歩かせた。撮影では多くのハプニング。ジャマイカは雨が多く、撮影できない日が続いたことも。湿地帯での撮影ではニオイと蚊に悩まされた。ウルスラはサンゴで足を切るケガ。また、「ウルスラがカニに苦しめられるシーン」が撮影予定だったが、届いたカニは冷凍もの。何の動きもないカニでは迫力がないため、「水責め」の演出に変更された。ただ撃ち殺される役だったドロレス・キーター(ストラングウェイズの秘書役)。しかし、彼女が通信する部屋は実際の実家が使用されて永遠に映画の中に残ることとなった。英国映画らしいユーモアも。ノオの部屋にゴヤの『ウェリントン公爵』の絵。これは当時、盗まれて世間の話題になっていた絵。「盗んだのはノオ」という面白いジョーク。この模造品は映画の宣伝に使われたが本物と同様、展示中に盗まれてしまったという(美術担当ケン・アダム談)。ノオの部屋の水槽は映像を拡大して映し出したもの。映画と原作には相違点も。原作では巨大イカが登場するが、映画では無し。また、キャラ設定を明らかにするため小説には登場しなかった「スペクター」の描写。日本では『007は殺しの番号』というタイトルで公開。1972年の再上映時に『007/ドクター・ノオ』に変更された。テレビでの初回放送は1976年4月5日、TBS『月曜ロードショー』。約94分の内容で放送された(本編は108分)。結果的に世界的なヒットとなったシリーズ第一弾。バチカンは「暴力、性的な演出」を非難。ソ連は「ボンドは資本主義の悪の化身」と表現。「名作」も立場によって違うようだ。
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