2020年10月3日土曜日

『ジャッキー・チェンの醒拳』「偽ジャッキーの暗躍&過去作の流用」「金洋ロードショー:香港映画専用ブログ」

「金洋ロードショー:映画ブログ」『クレージーモンキー 笑拳』の姉妹編(?)。本物、偽ジャッキー、合体技を使う悪役、セコい店主、勇ましい女に注目です。

1.ストーリー

親を失った二人の青年が悪党コンビに戦いを挑む。

2.キャスト&見所

主役は一応、二人。ジャッキー演じる「ロン」、ワイ・ティンチーの「ドン」。二人はいとこ同士。親が「末世流」という二人に追われているため、会うこともできない状態。ロンは六合八卦拳の使い手で、賭事や遊びが好きな男。ドンはだらしない感じの怠け者。二人に「末世流」の魔の手が迫る。「ロンの父」を演じるのはジェームズ・ティエン。「ドンの父」は陳慧樓(『成龍拳』ほか)。共に『クレージーモンキー 笑拳』では別のキャラで出演。他に、チン兄弟を保護するシュウ頭首親子(馬場&リン・インジュ)、食堂の店主(ディーン・セキ)など。悪役はロンとドンの親であるチン兄弟を(理由はよくわからないが)しつこく追い回している二人組「末世流」。彼らが(思わず笑ってしまうような)ヘンな合体技を使うシーンに注目。主な笑いどころは三つ。ロン(本物ジャッキー・チェン)が賭事をして遊ぶシーン、食堂で職を求めるシーン。ロン(偽ジャッキー)が末世流から逃げるためにヘンな変装をするシーン。特に「食堂のシーン」がオススメ。ケチな食堂の店主(ディーン・セキ)。ロンにタダ働きさせるためにアレコレ妙な労働条件を提示。仕事のやり方を教えるシーンもコミカル。『ジャッキー・チェンの必殺鉄指拳』でも「おもしろキャラ」だったディーン・セキ。この作品でも印象に残る「おいしい」役どころ。

3.感想

『ジャッキー・チェンの必殺鉄指拳』と並ぶジャッキーの二大珍作の一つ。『クレージーモンキー 笑拳』で使われなかった映像と過去作の流用で製作されたもの。本来ならば「しょーもない映画」になるはずですが、この未使用映像と珍妙な演出により、なかなかの傑作に。「偽ジャッキー」が暗躍。ブルース・リー『死亡の塔』のように強引に作られた作品。たぶんそれだけ「ジャッキー人気」が当時は凄まじかったということでしょう。本物のジャッキー・チェンが登場するシーン、ニセモノが頑張るシーン、悪役に注目したいところ。ストーリーは復讐モノ。『クレージーモンキー 笑拳』の未使用映像がなかなか面白い(「使わないのはもったいない」と思うほど。だからこの作品が作られたんですね)。特にジャッキーとディーン・セキのからみ。『笑拳』では「ケチな棺桶屋(ディーン・セキ)で就職活動するシンロン(ジャッキー)」。『醒拳』では「セコい店主(ディーン・セキ)がやってる食堂で職探しをするロン(ジャッキー)」。どっちもディーン・セキが笑いを取り、ジャッキーはヘコむ役。『笑拳』では「棺桶屋」の方が使われたんですね(「食堂」の方も面白い。ボツにするのはもったいない、と誰かが考えたに違いない)。鼻を赤く塗って登場する「偽ジャッキー」。ジャッキー本人はこのキャラが嫌いだそうですが、私はそれなりに楽しめました(珍キャラが好き)。『笑拳』だけではなく『拳精』の流用もちっとだけあります。偽ジャッキーが映ってるシーンは後ろ姿が多い(『死亡遊戯』『死亡の塔』でリーの代役が出てるシーンと同じテクニック。代役なのがバレてるのに本物っぽく見せようとしてからに)。ジェームズ・ティエンがジャッキーの父役で登場(『笑拳』では祖父と孫だった)。『笑拳』では「清朝の暗殺者」を演じたヤム・サイクンが今作では「末世流」。末世流が使う合体技は思わず笑ってしまうような技(ヘタに特殊効果を使ったために珍妙な動き)。しかもラストバトルは『笑拳』の流用が多い。できれば「最後の戦い」ぐらいは新しく撮って欲しかったところ。本物ジャッキーと偽物を比較しながら観るのが面白い(かもしれない)珍作です。

(予告編:YouTube)

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